自称できる女、はじめての育児

シンガポール子育て

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自称できる女として、長年会社勤めをしてきた私は、初めての育児に「効率化」と「正確さ」を求め、それはそれは張り切って奮闘していた。

入院中にもらった3時間ごとに記入していく赤ちゃんの授乳表も、完璧にこなしてやると意気込んだ私。その日に赤ちゃんに与えるミルク量は30ml、私は授乳時間とミルクの量を先に1日分埋めた。

1. 午後1時-30ml

2. 午後4時-30ml

3. 午後7時-30ml

4. 午後10時-30ml

ときれいに時間が並んだ授乳表に、飲んだ後からチェックを入れていけばパーフェクトな表が完成するではないか。あとは3時間ごとにアラームをセットして、ミルクのあげ忘れを防ごう。

3時間ごとに30mlのミルクをあげればいいだけなんて、その間は自分時間。子育てなんて楽勝じゃん、とさえ思ってたけど。

私の授乳表を見た助産師が苦笑いをしながら「一応もう一枚授乳表渡しておくね。」と予備の表を私に差し出した。

自称できる女の完璧な授乳表に、念のため予備の表を置いていくなんて、と憤慨した私だが、すぐにその意味がわかった。

はじめの授乳からずれが生じたからだ。

赤ちゃんが、3時間たっても起きない。。

赤ちゃんが、ミルクを残す。

赤ちゃんが、3時間待たずに泣き出す。

赤ちゃんが、ミルクをもっと欲しがる。

それはそれは焦りながら、ミルクをあげる時間を調整し、ミルクの量を調整し、そして結局その日に提出した授乳表は、修正だらけのぐちゃぐちゃな表になった。

長年の会社勤めで培った「効率化」や「正確さ」は、人間を育てる過程では全く持って役に立たないことを知った産後3日目の夜。

今、生後3週間の我が子が寝た瞬間に、全神経を集中させて私も眠りにつく。たとえ5分後にすぐ起きることになろうとも。我が子にミルクを与えながら早食いでご飯を平らげる。

育児に必要なのは「柔軟性」と、「図太さ」なのかもしれない。

Cocoaプロフィール
cocoasan

2014年、旅行でたまたま訪れたシンガポールに魅了され、32歳で現地採用の銀行員としてシンガポールに移住しました。現在は、フィットネスジムを経営する夫を手伝いながら、シンガポールで子育てをしています。

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