はじめての「MRI」が怖すぎた話~閉所恐怖症

シンガポール子育て

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私の子宮は「双角子宮」というハート形の子宮だと初期から言われていた。逆子になりやすい以外は特に大丈夫だよ、という医師の言葉を信じ来た妊娠9か月目。逆子になりやすい、というのは本当らしく、赤ちゃんは初めから34週の今まで、ずっと逆子のため、とうとう帝王切開の予定日も決めた。

「念のため子宮がどういう形になってるか、大きい病院でMRI撮ってみようか。」と言われたのが先日での検診。

「その方がどこを切れば良いかすぐわかるしね。」と医師は頼りになることをいい、私は速攻でOKした。

「私は、MRIを撮る必要のある特別な妊婦なの」と、紹介状を手に、札幌の総合病院に向かう。

ドラマでよく見るあの光景。私の体がスキャンされるところを、医師たちが別部屋で観察する。痛くもないだろうし、心躍る気持ちさえあったのに。

いざMRIを撮る段階になり、私の緊張はマックスに達した。医師から「パニックになったり、どうしても無理だったらこのボタンを押してください。」と言ってゴム状のボタンを渡されたこと。「30分ほどかかります。」とMRIの時間が思ったよりも長かったこと。5分くらいと思ってたのに。どうやら、閉所恐怖症の人とMRIとの相性は合わないらしい。

私は小学校の頃、エレベーターの中で同級生2人と閉じ込められたことがあって、それから狭いところがダメになった。

特に、鍾乳洞とか、洞窟とか、地下に入るのが怖い。

頭の整理がつかないまま、服を着たまま寝かせられ、お腹に重いクッションのようなものを乗せられる。産婦人科の病院の紹介をもとに来ているので100%安心だとは思うけど、こんなんのせて赤ちゃん大丈夫なんだろうか、と気が気ではなかった。

「音がうるさいのでヘッドフォンをつけますね。つけてもうるさいかもしれません。」と責任感ゼロ発言と共にヘッドフォンを付けられる。

「はい、それでははじめます。」

うぃ~~ん、と私の体が筒状の機械に吸い込まれる。目の前10㎝ほどにせまる壁。ここに30分滞在!?「これ、無理なやつだ!」パニックになりそうになりながらも、

「これは、赤ちゃんのためなんだよ。」と必死に自分をおさえこむ。

断続的に聞こえる機械音もずいぶんと耳障りで、私は目を閉じながら恐怖心と戦う。

私のドキドキが伝わったのか、機械音を聞いたのか、お腹に載せたクッションが重かったのか、いずれにしてもお腹の赤ちゃんにとっても居心地の良い空間ではなかったと思う。お腹の中で今までにないくらい暴れた。

何回か、「はい、息をすって~、止めて!」と息止めのアナウンスが入るのも拷問だったし、「なかなか長く息止めれません!」と叫んだ私の声が向こうに届いてないことも怖かった。このゴム状のボタンを押して初めて誰かが助けてくれるのだろうか。このゴム状のボタンを落としたら?私は一生この筒状の中にいるの?めぐりめく恐怖心。

ああ、痛くは全くなかったものの、あの怖さはもう2度と味わいたくない。私は開放的な空間に常にいたい。

ただ、このMRIの後、今まで不安だった3週間後に迫った帝王切開への恐怖もなくなった。何事も経験だ。

密室のMRIの空間に比べれば、手術室という無機質な楽園で腹を切られたほうがまだましだ。

Cocoaプロフィール
cocoasan

2014年、旅行でたまたま訪れたシンガポールに魅了され、32歳で現地採用の銀行員としてシンガポールに移住しました。現在は、フィットネスジムを経営する夫を手伝いながら、シンガポールで子育てをしています。

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